008 萩のししくん 〜ししくんコレクション


製作に多くの手間がかかりしかも歩留まりの悪いししくんはとても高価で、街角に鎮座しているような彼らは一般庶ぐまの手の届くものではない。 店先で売られているものの中には量産化され比較的安価なものもあるが、これだけ色々なししくんを見てくると、より深い味わいを求めて満足できなくなってる自分に気が付く。 そう手に入れようなどと思わなければもっと素直にししくんを楽しめるはず。 そう考え始めたちょうどその頃、東光寺門前のとある焼物屋さんで衝撃の出会いが…。  (写真はクリックで拡大するよ)


■ししくんTYPE-A 山本寛風作 (W150 x D150 x H200 mm)
ひと目見るなり笑った。  店頭で逆立ちして虚勢を張っている3頭身のししくん。 両手で持ち上げると手足をばたつかせて吠えているようだ。 いやいやキャワイ〜のなんのって…。 作者は山本寛風氏、萩の奇才と賞される氏の手業は伝統的な萩焼にあって一際異彩を放つ。 寛風氏の古典に対する独創的な解釈とデフォルメ、そして省略はとても次元が高いとくまは感じるのだ。 コツコツ作るのではなく、一回でさっと作り上げる「速作り」的な手法は造形力に優れた手のみに許され、鮮度の高い躍動感を醸し出している。
ポーズは伝統的な「飛獅子」なのだが、その場で後ろ脚を跳ね上げたようにも、上から落ちてきてベチャと貼り付いたようにも見える ムチムチと肥えたバディ(でも脂肪じゃくて筋肉)、とくに腰から後ろ脚までの量感がタマリマセン
お座敷芸「しゃちほこ」やりまーす!
…て、顔がデカイよ しかもコワイし
手はムーミン谷のニョロニョロに似ている
寛風氏のししくんのトレードマークである「受け口」と2本の下前歯 コワクてカワイイ独特の表情の重要な要素だ
気張らずにちょんちょんと付けたような足の指とさっと引いたしっぽのケガキ 簡単そうでもまねできない

■ししくんTYPE-B 山本寛風作 (W160 x D130 x H130 mm)
前回のししくんに出会ってから4年後の2002年、久しぶりに萩を訪ねししくん巡りをおこなった。 例の東光寺前の焼物屋さんに立ち寄ったときTYPE-Aの兄弟のTYPE-Bがいた。 間違いなく同時期の兄弟作品!4年もの間よくぞ待っていてくれたなぁ〜  …しかしいた場所が問題だった。店の前のセールワゴンの中、しかも「本日のサービス品」の札をぶらさげてるやないかぁ!
こちらのポーズは伝統的な「立獅子」、でも立ってるというか足がどうなっているのかわからんぞ どちらかというとニワトリが穴を掘ってカマカマカマとしている様子を連想しますな 小型室内犬が自分のしっぽを追いかけて暴れまくってるようにもみえるけど
背後から見るとひたすら回り込んでいる動線のみ あばらの筋肉?は触りたくなる
「受け口」、「下前歯2本」の得意げな表情
上から見ると粘土の塊のよう

■ししくんTYPE-C 山本寛風作 (W120 x D160 x H180 mm)
TYPE-Bがあんな目に遭っていたことは結構ショックだったが、もしやまだ不遇なししくんがいるのではとの思いで店内を探し回った。 陳列棚の下の箱なんかがあるところに、いたいた …って、なんじゃこりゃ? なんとTYPE-Cは省略の極み、とても手抜きなししくんだったのだ! 獅子を作る時間など無くなったのかなぁ?
いやいや、省略が悪いというのではない むしろ省略の追求は洗練、昇華、観念化に通じ、「飛獅子」の根元的な実存意義を問いかけるレベルの高い作業なのだ 寛風氏が見せてくれた遊び心に溢れた省略とデフォルメは見事である 飛んで着地する形態の単純化と記号化、三次元における強制遠近法(ししくんが自分で遠近法をつけている)など、二次元の約束事をさりげなく立体に適用して遊んでいるように思える
〜もし存在するならば、この手法による「立獅子」も是非見てみたいものである
ついに顔もタテガミもケガキで済まされた わずかに耳に盛り土があるのみ
本体が傾いているので真上から見ても正面から見てもあまり変わらない
お尻の方から見たところ 見事にまん丸で出っ張りはほとんど無い

■ししくんTYPE-D 山本寛風作 (W210 x D210 x H180 mm)
TYPE-BおよびCの保護から1年後、懲りずにしし巡りにやってきた。 前回の訪萩から1年しか経っていないので新発見が少なくて少し残念だった(萩は時間の止まっている街、都会の1週間が萩の1年ぐらい?)。 ただ寛風氏の名前がWeb上の萩焼職人の名簿から消えていたのは少し気になるところだ。 今回はもう無いと思っていたが意外にも「寛風作の巣」のような店を発見してしまい、TYPE-Dを入手することになった。 そこには寛風作本格ししくんにも出会えたがこちらは眺めるだけ。
このししくんTYPE-Dは、これまでで最大級のやや大きめのもの 「立獅子」なのでTYPE-Bとほぼ同じかたちをしている。 仕上げの違いから見て、それまでのししくんとは製作年代が若干異なるようだが、どちらが若いかは見当が付かない コイツはさすがに大きいので細部の作りも細かくなるが、ちょっと後ろ脚大きすぎないか? …前脚が踏まれてなくなってるよ
あばらの筋肉としっぽのフサフサも健在、耳のかたちも獅子耳に
ししくんのトレードマークである立派な獅子鼻 今回は「受け口」ではないもよう
上から見るとまん丸、でかすぎると思った爪もよいアクセントになる


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