コンサイスと愉快な仲間たち:CONSICE, AND HIS FRIEND
 
黎明期のミニコンポが目指したものは?
 
コンサイスな仲間たちが現れた1978年はオーディオブームのまっただ中、国内メーカーの開発意欲は益々盛んになっていた。 その一方で一般家庭のオーディオ普及率は60%を越えたとされ、需要の頭打ちが懸念され始めるのもこのころであった。 かたや、その少し前から電子部品の小型化や集積回路化(IC化)が始まり、 パルス電源やワンチップマイコン技術の導入などでオーディオ機器の小型化は一気に現実味を帯びてきた。 また、当時の住宅事情がオーディオの更なる普及の障害になると考えられ、各メーカーは買い換え需要も含めた次世代オーディオ像の一つとして超小型で高音質なコンポーネントを位置づけた。
 これが 1978年の春に各社が申し合わせたように発売するコンサイスなコンポの背景である。
 
…この新しいコンセプトは、それまでの「ステータスシンボルとしての巨大なオーディオ装置」という既存の価値観を覆すものであったため、各メーカーは新しい価値観をどのように表現するかという点に注力し、ここに模倣ではないオリジナリティー豊かな顔ぶれが一同に会することとなった。

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ミニコンポの由来
 
さて、こいつら紛れもないミニコンポの祖先なわけだが、そもそもミニコンポとはどういう意味なのか? 文字通りミニコンポは「小さな」・「コンポ」。 …じゃコンポって? それは「(ステレオ)コンポーネント」の略 で、「コンポーネント」とは「構成要素」という意味がある。 つまり、アンプやチューナー、デッキなどをそれぞれ買い集めてひとつのステレオセットを組み上げるための機器であった。 そのため筐体のサイズは多少のバラつきはあるものの、どのメーカーの製品でも概ね430mm x 160mm(80mm)に揃っていた。

ところが、他社のものと組み合わされるのはメーカーとして面白くないわけで、シリーズのデザインを個性を押し出し統一感を強調、結果として他社製品と組み合わせると違和感を感じるようにしてしまう。これを「システム・コンポーネント・ステレオ」=「
シスコン」と称して、実質的には同じメーカーの中でシステムアップを図るコンポーネント・ステレオへと移行してゆく。

ミニコンは、このシスコンの小型版だと考えて良いだろう。ダウンサイズを模索する企業のデザイナーたちがその寸法のよりどころを独自に求め個性的にまとめた結果、新しい統一モジュールは生まれることは無く、それぞれに「閉じた」コンポーネントステレオが登場する結果となった。
 
現在のミニコンポは組み替えができるのはスピーカぐらいで(アンプ内蔵のSPならそれもダメ)実質ラジカセレベルの完全閉鎖機器となっているものがほとんどだ。
「ミニコンポ」と呼ばれる商品カテゴリ名はもはや本来の意味を失っているといえる。
 
初代はドカ〜ン、後に現実路線
 
新しいカテゴリに最初に送り出された製品は、どのメーカーもかなりの高級機。特にアンプはコントロール(プリ)とパワー(メイン)で構成されるセパレートタイプが多く、チューナーの多くは当時最先端のクォーツロック・シンセサイザ方式であった。 スピーカについては専用タイプを設定するメーカはあまり無くむしろ当時のハイエンド大型スピーカにつなげるデモが盛んに行われていた。 当然価格はレギュラーサイズの高級機と同じかそれよりも高かったため話題になった割には売れ行きは爆発的とはいかなかったようだ。 小型化を求める購買層に高級機並の金額を支払おうという人はあまりいなかったのかもしれない。
 
後に発売される後継機たちは市場とのギャップを修正しコストダウンの図られた現実路線のスペックとなる。 音質やスペックはともかく(ぉぃ!)、初代よりも高級な後継機を出したメーカーが一つもなかったのは事実である。
逆の見方をすると、
これら初代機は現実離れしているからこそかえって魅力的なのだと思う。 当時の高級初代機も使い古されてゴロゴロと中古屋に並ぶ昨今、思わず保護したくなるのはくまがまだ子供だった当時のトラウマかもしれない。 
 
カセットデッキについて

 
以下に紹介する機器のほとんどはカセットデッキが欠品している。製造されてから30年近くも経つと当初の機能を維持することが困難になるのだが、とりわけ複雑なメカ部が主体のカセットデッキのほとんどは壊れて廃棄されているのが現状だ。 また、小型化が難しいカセットデッキはコンサイスなシステムの半分から3分の1の容積を占めるため、オプション扱いをしているメーカーもあった。 今となっては使用機会もめっきり少なくなったカセットデッキは今回のコレクションから外すことにした。
 
  
Technics CONCISE COMPONENT(コンサイスコンポ)
SE-C01(PowerAmp.),SU-C01(Pre-Amp.),
ST-C01(FM/AM Tuner) ,
RS-M03(CassetteDeck;写真無し)
SB-F1/F2/F3(Speaker) 1978年6月発売

 
初代コンサイスコンポ。 元祖ミニコンポブームを代表する製品として後々まで人々の記憶に残ることになった名機。 その理由は清潔で緻密なデザインに加えて、それまでのオーディオ機器らしからぬネーミング、小林亜星を起用した宣伝広告などが功を奏した結果であると推測される。 宣伝の効果は絶大で、小林亜星がデカイ身体の真ん中にちょこんとコンポを抱えて「このサイズでコンポ、コンサイスコンポ」とダジャレを飛ばしていたのが印象深い。 またコンサイスはフルサイズコンポである「BIG・GM」(キャラクタはやせ形のすぎやまこういち)と一対で宣伝され小さいという印象をさらに強めた。

SA-C02(Stereo Reciver)SU-C03(Integrated Amp.),ST-C03(FM/AM Tuner) 1980年発売
 
初代に続く…

SU-C04(Integrated Amp.),ST-C04(FM/AM Tuner) 1981年発売
 
コンサイスの世界でもマイコン化が進む…


AUREX MICRO COMPONENT(マイクロコンポーネント)
SC-M15(PowerAmp.),SY-C15(Pre-Amp.),
ST-F15(FM Tuner) ,
PC-D15(CassetteDeck;写真無し)
SS-S1W(Speaker) 1978年6月発売

 
初代コンサイスコンポ。 元祖ミニコンポブームを代表する製品として後々まで人々の記憶に残ることになった名機。 その理由は清潔で緻密なデザインに加えて、それまでのオーディオ機器らしからぬネーミング、小林亜星を起用した宣伝広告などが功を奏した結果であると推測される。 中でも

「CDer COMPO」
 
ありゃ

内部構造
 
開けてビックリ、


DIATONE M series(ミューシリーズ)
M-A01(PowerAmp.),M-P01(Pre-Amp.),
M-F01(FM Tuner) ,
M-T01(CassetteDeck;写真無し)
1978年7月発売

 
ダイヤトーンこと

M-A05(PowerAmp.),M-P05(Pre-Amp.),
M-F05(FM/AM Tuner) ,
M-T05(CassetteDeck;写真無し)
1978年10月発売

 
さっさと出た廉価版…というか現実版

M-U07(PowerAmp.),M-F05D(FM/AM Tuner) ,
M-T07(CassetteDeck;写真無し)
1979年発売

 
初代コンサイスコンポ。 元祖ミニコンポブームを代表する製品として後々まで人々の記憶に残ることになった名機。 その理由は清潔で緻密なデザインに加えて、それまでのオーディオ機器らしからぬネーミング、小林亜星を起用した宣伝広告などが功を奏した結果であると推測される。 中でも


Lo-D Jewel(ジュエル)
HMA-50(PowerAmp.x2),HCC-50(Tuner-Pre-Amp.),
M-50(CassetteDeck;写真無し)
,HS-50(Speaker)
1979年4月発売

 
ローディーはこう来たか…

「CDer COMPO」
 
ありゃ

内部構造
 
開けてビックリ、


AIWA MY PACE(マイペース)
S-P22(PowerAmp.),S-C22(Pre-Amp.),
S-R22(FM/AM Tuner)

1978年6月発売

 
なんと当時最小モデルはアイワから

「 」
 
ありゃ

内部構造
 
開けてビックリ

 
 
 

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