SB-007 (Technics oo7)

1975年、世界で初めて位相特性に着目し、リニアフェイズ設計に基づいたスピーカー Technics7 (SB-7000)が登場し、世界中のスピーカー開発に影響を与えた。

リニアフェイズとは位相周波数特性の平坦化を意味し、ネットワーク回路やユニットを開発するとともに、聴取者と音の発信源の位置を揃えた。 その結果、小さなユニットほど後退した位置に配され、独特の階段状のフォルムが誕生した。

大好評であったSB-7000の発売から1年後の'76年、約1/2のサイズのミニチュアモデル SB-007 (Technics oo7)が制作されれた。

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SB-007は'76年11月に限定2000台で発売されたが、あまりにも反響が大きかったため3000台の追加生産があったと聞いている。 ミニチュアでしかも限定生産品であるにもかかわらず、007の設計はリニアフェイズスピーカとして、専用ユニット開発のレベルからこだわり抜いて設計されている。

当時のテクニクスは、超一流をめざす強い意志と技術屋の自由な発想が解け合ったエキサイティングなブランドであった。 〜なんせ本気でミニチュアを作るぐらいだから。


SB-7000とSB-007

単体写真を見ても今ひとつ大きさの実感が湧いてこないであろう。007はそれだけスケールを越えた作りをしているためだ。 何か比較するものと一緒に写せば良いのかも知れないが、…ウーファーユニットの最外周の直径が215mmで、ちょうど手のひらを広げた時の親指と小指の先までの長さに近いので、そのあたりで推し量って欲しい。

左の写真はネタ元のSB-7000との比較。 とはいえ7000すら目にする機会も非常に少なくなっているので大きさの実感にはつながらないが、7000の雰囲気が余すところ無く007に移されているのがわかるだろう。 ジャングル大帝「レオ」と「パンジャ」とか…

上面から見るとそれぞれのユニットの前後関係がよくわかる。
MID/HIGH用のアッテネータと入力端子が特性表が刷られた金属板に配置されている。
アッテネータ中音用レベルコントロール(中心周波数5kHz)1…0dB/2…-2dB/3…-5dB、高音用レベルコントロール(中心周波数15kHz)1…0dB/2…-2dB/3…-∞(off)

肝心の音の印象だが、イカツイ格好の割にはとてもまろやかな印象を受ける。 前に飛び出してくるようなイケイケの音ではなく、臨場感と低音から高音までのつながりを大切にした感じだ。
ただ、くまやすはこれと渡り合えるようなスピーカを他には持ち合わせていないし、アンプもあそこ止まりだ。 もっと強力なアンプでドライブしてやれば印象は変わるかもしれない。

リニアフェイズ設計とは
広帯域 ユニットの採用:ウーファーにはアラミド繊維を混抄した 3層TCコーン、軽量・熱放散に優れた硬質アルミ箔ボビン
伝達関数"1"のネットワーク: スピーカユニットの特性まで含めて入力信号が放射される瞬間まで位相周波数の平坦化を実現
ユニットの適切な配置:各ユニットから放たれた音が、同じタイムラグで聴き手の耳に届くように階段状に配置されている

定格
:●型式:3ウェイ・3スピーカ・バスレフ型 ●ウーファ:20cmコーン型(EAS20PL107SB) 6Ω ●ミッドレンジ:6cmコーン型(EAS6PH13S) 8Ω ●ツィータ:1..2cmドーム型(EAS3KH01SD) 8Ω ●出力音圧レベル:91dB/W ●瞬間最大入力:75W ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:288(w) x 507(H) x 228(D) mm ●重量:9kg ●標準価格\50,000 /1本(ネット付き)


改良の余地は (…というか修繕)

●モルトプレーン:ミッドレンジの前の平面に貼られているスポンジ状のもの。経年変化で全てボロボロ。音の反射を吸収するだけなのでスポンジ等で代用しよう。>>済み
ミッドレンジのエッジ:ビスコロイドが注入してあるが経年変化で散逸してしまっているものが多い。>>シリコンで代用できるかどうか検討中。>>いやビスコロイドが売っていた!
ウーファーのエッジ:例によってウレタンエッジなので必ず劣化する。 は、始まってるよ〜 >>検討中
●ターミナル(入力端子):またかよ〜と言いたくなるぐらいターミナルには泣かされる。 本機を手に入れた時に既にターミナルキャップが全て無かった。 規格外のネジのため代用は絶望。
>>しっかりとしたものに交換


資料:ネットワーク

ネットワークもとりあえず撮影してある。テクニカルガイドにある回路図と照らし合わせると、あろう事かコイルが1つ描かれていない! 修正しておいたのでオーナーの方は参考にされたい。

→回路図はこちら


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