クォーツD.D.フルオートマチックプレーヤーシステム SL-10 1979年、LPレコードジャケットの大きさのアナログレコードプレーヤーが発売された。 |
世界最小ジャケットサイズ、リニアトラッキング、クォーツD.D.、ワウ・フラッター0.025%、SN比78dB、フルオートマチック、MCヘッドアンプ搭載、MCカートリッジ標準装備、耐ハウリング・ダイカストキャビネット、カー電源OK、逆さまでも演奏可能、 …そして標準小売価格10万円。 |
当時のオーディオ愛好家の価値観ではレコードを聴くこと自体が周到な作法のかたまりであり、また喜びであった。 テーブル面の水平出し、カートリッジの選択、振圧調整、レコード盤のクリーニング、針おろし、演奏終了時のリフトアップなとなと。 確かに相応の機械を持っていれば、凝れば凝るほど音はちょっとだけ良くなった。 しかし深く追求すればするほどそれは、純粋に音楽を聴く喜びとは遊離した何か別の楽しみに転化されてしまうことに気付くマニアは少なかったし、気付く必要もなかったかも知れない。 SL-10はマニアでない人のための、しかしマニアをも納得させる性能を持ち合わせた最初のレコードプレーヤーであったと思う。 いい音を取り出すために費やされる作法を取り払い、音楽を楽しむための新しい作法を喚起する。 本質を追い求める明確な設計思想がなければ、ここまでこだわりのある製品を生み出すことは出来なかったであろう。 |
Technics SL-10のカタログより
SL-10のデザイン
以上は発売直後にSL-10が受けた主な賞だ。 SL-10のデザインについては多くのところで語られ尽くした感があるので、ここでは語る必要もなかろう。 あえていえば、前段で述べた内容がSL-10のデザインそのものだ。 すなわちしがらみにとらわれない新しい価値観を持ちうることと、技術面と一体となってそれを実現して見せたことではないだろうか。 |
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責任はどうなるT4P規格 SL-10で唯一気に入らないところがT4P規格のプラグイン方式カートリッジである。 ユーザーを針圧調整などの煩わしい作業から解放するために考案された規格ではあるが、実際には取り付けにくくかえって使いにくいものとなっている。 しかも問題は圧倒的に数が少ないこと。 一時期各メーカーから出されていたT4Pカートリッジも今手に入るものは数種類のみで、肝心の松下電器製のものは廉価モデル1種類を残して全て生産をやめてしまった。 規格の提唱元がこんなことでどうする。 現在SL-10を使う者は常に針欠乏の危機にさらされている。 |
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まうご犬とSL-5 今は、くまの押入の中で静かに眠っておる。 くまやすはレコードを買うと即座にカセットテープにレコーディングして聴きまくり、カセットが擦りきれてくると再度レコードより録音するというサイクルで聴いていた。 そのためプレーヤの利便性よりもカセットデッキの性能を重視した。 くまにこのSL-5があれば少しは聴き方が変わっていたかもしれない。 |
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